楽園


楽園〈上〉楽園〈上〉
(2007/08)
宮部 みゆき

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~あらすじ~
「模倣犯」事件から9年が経った。事件のショックから立ち直れずにいるフリーライター・前畑滋子のもとに、荻谷敏子という女性が現れる。12歳で死んだ息子に関する、不思議な依頼だった。少年は16年前に殺された少女の遺体が発見される前に、それを絵に描いていたという―。


画像は上巻だけですが、上下巻の感想です。
これは「模倣犯」の前畑滋子のスピンオフ作品とでもいうのかな?「続編」っていう感じではないのよね。

あの忌まわしき、山荘の事件から9年たって、駆け出しのライターだった前畑滋子は、あの事件についてトラウマみたいなものになってしまい、事件のドキュメンタリーが書けず、主婦の献立とか旅行などの雑記を書くライターとして細々と生活していた。
が、ある日「萩谷敏子」という女性から、「自分の息子は超能力者だったのではないか、息子のことが知りたい」という依頼が来る。女性の息子、等は交通事故で亡くなって、絵を描くのが好きだったという。そしてその絵は2種類あり、「とても12歳の少年が描くような絵ではない、幼児のような絵」と、「12歳とは思えない精巧な写実絵」があった。
そして、幼児のような絵は、生前、等が「頭の中に入ってきたぐるぐるしたものを絵にすることですっきりする」といったようなもので、何か対象物があったときに描かれる絵はとても精密な絵になるのだという。
そこで、前畑滋子が見た絵は、「あの」模倣犯の、山荘の絵、しかも警察の一部のものしか知らない、遺体を埋めた場所を示すワインボトルの書かれた絵と、風見鶏ならぬ風見蝙蝠のある家に肌のグレーの少女がいる絵。
他にもいろいろあったが、事件性がありそうなものはこの2つ。
最近のニュースで16歳の少女の遺体が埋まっており、火事によってそれが明らかになり、犯人は両親だったというニュースがあり、その家には風見蝙蝠のようなものがあったという。
前畑滋子は、等が「超能力者ではなく、どこかでそれを見聞きしたのではないか」という線で、敏子の、等を悼む作業として事件を追っていく。が、その過程として風見蝙蝠の家、土井崎家を調べていくにつれ、新たな事件が…

あんまりラストまであらすじ言ってしまうのもアレなんで、続き気になる人は読みなはれwww

全編通して読んだ感想は、この話ってなんというか親子の愛と憎や原罪というテーマで作られた感じがします。
土井崎家の両親は16年前娘を殺し、家に埋めたのはもうひとりの娘のため。殺された娘の彼氏であった「シゲ」は金持ちで甘やかされてほったらかしに育ったためろくでなしに。そして敏子さんと等の関係は、ただひたすら愛に満ち溢れていた。かなり対照的な親子たち。
一体どこで道が間違えてしまったのか?
「シゲ」は金崎会長の甥で金はある、母親はろくでなしで育ったせいか、典型的なグレたクソ野郎という印象で、土井崎夫妻を16年にわたって脅していた手口、幼女誘拐など、もう更正の余地はない。読みすすめていく段階で本当に胸糞悪かったですwwwww早く捕まってしまえと思っていたwwww
そして、本当に等は超能力者だったようですね。最後そのルーツのようなものが敏子さんからわかってくるのですが。

そして滋子の人との関わり方が丁寧に書かれていて、ぐいぐい読ませるのはさすが。
かなりいろいろ詰め込まれた話だったのですが、スイスイと読めます。かなり寝不足になりましたがwwwwwww

この話は、
家族にとって楽園とは?
代償を払わなくては楽園は手に入らないのか?
ただ子がどんな状態であろうと親は子を見放せない。そういうテーマだったのではないでしょうか?
前畑滋子と「模倣犯」の話が出てきますが、完全に内容が違います。


そしてラストシーンの

お母さん。頭のなかに、梅の花がいっぱいだよ。
きれいだね。きれいだね。


敏子さんの頭の中の映像を描いた梅の絵。
それを思い出し、幸せな敏子さん。息子はもう戻ってこないけど、自分の中にいつまでも一緒。
これこそが楽園ですね。


ええ話や~






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