献灯使


献灯使献灯使
(2014/10/31)
多和田 葉子

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~あらすじ~
大災厄に見舞われた後、外来語も自動車もインターネットも無くなった鎖国状態の日本で、死を奪われた世代の老人義郎には、体が弱く美しい曾孫、無名をめぐる心配事が尽きない。やがて少年となった無名は「献灯使」として海外へ旅立つ運命に……。
圧倒的な言葉の力で夢幻能のように描かれる’’超現実”の日本。
人間中心主義や進化の意味を問う、未曾有の傑作近未来小説。(amazonより抜粋)



近未来というと、SFチックな世界を想像されるのが一般的だとは思うんですが、どちらかというと現在よりちょっと時間が過ぎた「近い未来」という言い方のがしっくりきます。

震災と、それに起因する原発事故を受けた後のこの国で作家に何が書けるのか、そういう問題提起に対する答えがこの小説にはあると思われます。

災害が引き起こした放射能汚染により、逃げ出す者が相つぎ、都下は慢性的な果実や野菜不足に悩まされている。
放射能汚染があった時点で成人していた者は百歳を過ぎても死ねず、逆に若い者ほど放射能の影響を受けやすく早死にする、近未来の日本は何故か鎖国中で、外来語は使えず、ドイツパンは讃岐パンと名を変えている。

そんな世界で、作家の義郎は早世した両親、沖縄で働く祖父母に代わり曾孫の無名(むめい)の保護者として、食事の世話や学校への送り迎えをする毎日。
今日も貸し犬屋で借りた犬を連れ、今や「駆け落ち」と名を変えたジョギングを済ませたばかり。
無名たち虚弱化した子どもたちは、物も満足に噛めず、果汁を飲むことさえひと仕事という在り様。いわゆるディストピアな世界で、人々は今の状況を受け入れるしか無く生きている。
今現在の発展途上国のような、「近い未来である」日本のありようはリアルで、現今の政治状況ではこれもありだなと妙に納得させられます。
外国語・外来語の禁止などは、武道や日本史の必修という文科省の政策から窺えることですし。鎖国政策というのも、卓抜な比喩として現在の日本の置かれた状態を言い得て妙。

よく似た形の漢字を使った言葉遊びも、バイリンガルとして言語を操る氏ならではだと感心させられます。
比べてしまうのは本当に申し訳ないけども、一部でよく言われている西尾維新の「言葉遊び」なるものとでは次元が違いますね…
まあ全然話それましたけども。言葉遊びってこういうことだよなと日々悶々としてましたのでww

世の中が再起動だの復興だのと夢のようなことを日々のたまっていますが、臭いものには蓋をして「ある現実」を受け入れていない世の中に対しての皮肉ともとれる作品だと思います。

表題作の中編小説が1篇と短編が3つ+コント風の戯曲1篇で構成されていますが、どれも皮肉と毒に満ちていておすすめ…はちょっと出来ないかなwwwww
面白かったんですが、面白さが人によって分かれると思います。
人によっては不愉快極まりないのでもう読みたくないという人もいたので、自己責任でお願いしますwwwww



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